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離婚全般 > 財産分与

全財産を放棄し慰謝料も払うので離婚したいと言われましたが、後に権利の主張をされると困ります。

夫の一方的な理由で、婚姻中に築いた財産は全て放棄し、慰謝料も払うので離婚したい、と言われました。
慰謝料は分割払いの為、公正証書にするつもりですが、財産分与は放棄する文面を残しても、後に権利の主張をされても困ります。
財産は半分づつの法律がある様ですが、放棄の意志で離婚を成立させて、後で権利を得ることは出来ますか?
私は離婚したくないので、夫の権利を無視した条件を出したのですが、承諾されました。
相談宜しくお願いします。

  • やまと法律会計事務所
    大和 弘幸

    財産分与に係る財産の処分についても,公正証書の中で明記すべきです。

     夫婦の共有財産については,離婚の際,財産分与の対象になりますが,当事者の合意によって全部を一方当事者のものにすることも可能です。ただし,相談者がご懸念のとおり,「錯誤があった(から合意は無効だ。)」とあとから合意の効力を覆されては困りますので,慰謝料の分割払いを定める公正証書の中で,別途,財産の範囲を明示し,それが夫婦の共有財産であることを示したうえで,それを全部相談者に取得させるという合意をしておくことで,後日夫から錯誤無効の主張されることを封じておくのが良いかと思います。
     なお,蛇足ですが,財産分与の対象となる財産がどのようなものか,不動産なら名義は誰かなど,相談内容には明記されておりませんが,仮に金銭ではなく物である場合,少なくとも夫が財産分与義務を負う二分の一の部分については,当該物を代物弁済することで夫は義務を免れたことになるので,当該物の時価相当額を債務消滅益として所得したことになり,夫に譲渡所得税が課せられる可能性があります。この点についても十分調査したうえで,仮に夫に税金がかかるのであれば,それも公正証書に明示することで,後日の紛争を避けるようにしましょう。

  • ひだまり法律事務所
    芝 憲司

     現在、ご夫婦の財産(不動産や貯金)は、どなたの名義になっていますか?通常は夫名義であることが多く、夫から妻への財産分与という形になります。財産分与の「放棄」という表現を用いる場合には、相手方名義の財産について分与の請求をしない=そのままでいい、という場合です。今回の回答としては一般的に財産が「夫」名義であることを前提にお話しさせていただきますが、この場合には「財産分与協議書」等の書面を作成し、夫名義のこれこれの財産を財産分与として妻に分与する、といった内容を記載すれば後で蒸し返すことは事実上できなくなります。そこに、慰謝料に関する記載もまとめてしてしまうのが簡便だと思われます。

  • 岡村法律事務所
    岡村 茂樹

    財産分与は請求権ですから,話し合いで放棄することが可能ですが,証拠を残しておくべきです。

    ・財産分与は,夫婦が婚姻中に築いた財産を離婚に際して,清算することを意味します。
    ・お互いの財産形成に対する寄与度により分与の割合を決めることになりますが,通常は,半々とされます。
    ・ただし,財産分与はあくまでも権利を行使することにより現実化されます。
    ・夫が財産分与を放棄するというのであれば,この事実を公正証書に記載しておくべきでしょう。また,妻が取得する主な財産を記載して,これらを含む一切の夫婦が築いた財産は妻が取得する,夫は名目のいかんを問わず妻に対して財産上の請求をしない,というような記載をしておくと宜しいと思います。

  • 士道法律事務所
    飯島 充士

    慰謝料と併せて財産分与についても公正証書を作成しておけば足ります

    そもそも、離婚したくないのであれば離婚そのものに同意しなければ良いのであって、離婚しなければ財産分与が問題になる余地はありません。あなたが離婚に同意しなければ、夫の方が調停・裁判を起こすはずですから、その手続の中で財産分与のことを検討すれば済みます。
    あなたが協議離婚に応じるのであれば、慰謝料や財産分与について取り決めをしておく必要があります。なぜ慰謝料についてだけ公正証書を作成するのかがわかりませんが、普通は慰謝料も含めて財産分与を行うものですし、その公正証書で慰謝料の額と弁済計画、夫が財産分与の権利を放棄する旨記載しておけば済む話なのではないでしょうか。
    一応質問にもお答えしますと、理屈上、権利の放棄は意思表示のみで足りるので、後で言を翻しても駄目ということになります。ただ、その場合は言った言わないの話になりますので、公正証書その他の書面を取っておくべき、ということになります。

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